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アヤックスにドイツの波がやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!   

2017年 12月 28日

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突然のカイザー監督とスパイケルマン、ベルカンプの解任から1週間。アヤックスはユトレヒトの監督だったエリック・テン・ハフ就任を発表しました。そしてアシスタントコーチとしては、現ホッフェンフハイムでアシスタントコーチを務めているアルフレッド・シュルーダーを迎え入れることが決定するのも時間の問題だと言われています。(※追記:年明けの1月5日に正式に発表。)
半年前、ボス監督の後任としても名前があがっていたテンハフ監督ですが、オランダにおいてそのスタイルは特殊で異質な存在でした。今回の就任によってアヤックスやオランダにどのような変化をもたらしてくれるのか、あるいは破壊してしまうのか。個人的には期待が勝りますが、期待と不安が入り混じった現在の状況を備忘録的に残しておきたいと思います。内容的にはほぼVI記事の受け売りなのですが。
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■テンハフ、そしてシュルーダーとは何者か
テンハフはオランダでアシスタントコーチや監督を経験した後に、マティアス・ザマーに呼ばれる形で2013年から2年間バイエルンに在籍しています。役割はきちんと把握できてないですが、おそらくU-23チームのコーチとして。ご存知の通り、この時期のバイエルンはペップがトップチーム監督の時代。テンハフはグアルディオラの傍で仕事をしており、影響を多分に受けたであろうことは想像に難くありません。バイエルンへ行く前のゴーアヘッドイーグルスにおいても監督としては十分に優れており、選手からも「これまでの監督の中でベスト」と称賛されるほどでしたが、国外、それも世界有数のトップクラブに在籍したこと、そしてグアルディオラと議論を重ねたことからは学ぶことは多かったようです。以前はフットボールに関する全てのことは既に発明しつくされていると考えていたが、相手をおびき出す方法などグアルディオラが持つ数多くの解決策を通して考えを改めたということも語っていたそう。
この濃密なバイエルン時代を経て、2015年からはユトレヒトの監督に就任。上位定着やカップ戦準優勝と結果を出し、2016年のオランダ国内最優秀監督であるリヌス・ミケルス・アワードも受賞しています。

シュルーダーもテンハフと同様、トゥウェンテなどオランダで監督経験を積み2015年からドイツへ。ホッフェンハイムではナーゲルスマンの右腕としてアシスタント職を勤めていました。ルーチン化しない毎回異なる練習の構築、柔軟な戦術での対応など、多くを学んでいるはず。
トゥウェンテ監督時代はあまり良い結果ではなく、ファンからも抗議のバナーを掲げられるほどの状態となり最終的に解任されてしまいましたが、クラブ経営に問題を抱えていた時期であったことは付け加えておきたいところです。シュルーダーがアシスタントコーチを務めていた時期はリーグ優勝を達成するなど黄金期でもありました。スカウティング能力、選手の資質を見抜く力に長けているという評価もある人物です。

どちらもオランダ人ですが、戦術先進国ドイツの考え方が色濃く反映されそうな人選です。


■変化するエールディビジ
オランダのフットボールにおける伝統の中心はアヤックスであると言っても過言ではないでしょう(異論はあるでしょうが)。今回はそのアヤックスに変化の兆し、ということですがオランダ全体を見ると、既に数年前からゆっくりと変化は始まっていました。

人口およそ1700万人、面積41,540㎢の小国オランダがこれまでサッカーで尊敬を集めた理由のひとつは戦術や育成のメソッドではないかと思います。4-3-3のフォーメーションをベースに(クライフの頃は3-4-3だった気がする。どういった経緯で4-3-3が主流になったのかは勉強不足のため不明)、ユースの頃から皆が同じ戦術でやることで理解度も高まる、といったもの。

しかしその強みが衰退の原因となっているととらえることもできます。オランダでは全てのチームが4-3-3で戦うため、全ての選手は何をすべきか、そして相手がどう来るかを完全に理解しています。雑な言い方をすれば、毎週毎週各会場で予定調和な試合が繰り広げられるということになります(さすがに雑すぎですかね)。戦術も4-3-3しか学んでこないため、普段と異なるプレッシャーをかけられると途端に混乱に陥ってしまうのです。
様々な戦術を発展させたクラブが対戦相手となる欧州でオランダ勢が結果を残せなくなっているのはこのあたりが影響しているように思えます。3-5-2と5-3-2を巧みに使いこなしたロストフに苦戦したアヤックスとPSVが象徴的な事例ではないでしょうか。
過去に確立したものが素晴らしいのは確かだが保守的になりすぎることで取り残されている、という指摘は様々なところでなされています。

さて回りくどい現状把握はこのくらいにして、近年の変化について。
変化のきっかけはテンハフがユトレヒトに来た2015年と言われています。VIの記事 が興味深かったのですが、90%前後が4-3-3だったエールディビジがこの年を境に70~80%となっています。代わりに増えてきたのは4-4-2、5-3-2など。
PSVのコクー監督も言っていますが、テンハフとの対戦は戦術が勝敗を決定付けるため相手監督も対応を強いられるそう。結果、慣れない形となりうまくいかないという側面もありそうですが、テンハフがオランダにおける戦術パラダイムシフトの中心という見方は間違いなさそうに思います。


■各クラブの事例
テンハフユトレヒトに影響されたかどうかはさておき、オランダクラブが4-3-3以外を選択するようになってきたのは事実。普段はアヤックスの試合以外はそこまで細かくチェックしないのですが、アヤックスの試合だけ見ていてもその変化は薄々感じられるようになっていました。言われるまでははっきりと認識はできていませんでしたが。
そこで、4-3-3以外を選択したクラブとアヤックスとの対戦成績を17-18シーズン前半戦を中心に見てみたところ、なるほどアヤックスは比較的これらのクラブに苦しめられているようにも見えます。
複数のクラブが伝統の4-3-3とは別の方法を模索し、結果を出し始めている。もはや4-3-3は不可侵なものではなくなっているということかもしれません。

FCユトレヒト/テン・ハフ
中盤がダイヤモンド形の4-4-2と3-5-2、5-3-2など多彩。アヤックスとの対戦成績(フォーメーション)はざっと調べたところ次の通り。
2015-16  Utrecht 1-0 Ajax (4-4-2)
2015-16  Ajax 2-2 Utrecht (4-4-2)
2016-17  Ajax 3-2 Utrecht (4-4-2)
2016-17  Utrecht 0-1 Ajax (4-4-2)
2017-18  Ajax 1-2 Utrecht (5-3-2)
デブール監督は中盤をボックス形にした3-4-3で挑み撃沈。まだボックス形は時期尚早だったという結論に至りました。
ボス監督は「3CBは私のオプションには無い」と断言し相手に合わせる気ゼロ。自分たちのやり方を貫き通すことでなんとか勝ち切っています。
カイザー監督は細かい対応まではわかりませんが、4-3-3で挑み敗れています。

ヴィレムII/ファンデローイ
5-3-2や4-4-2を採用。ヴィレムIIは今シーズンのリーグで最も失点数の多いチーム。ゴール前にバスを止めることが5バックとしている目的ではなさそうです。
17-18シーズンのアヤックスとの対戦では5-3-2と4-2-3-1で挑んでいます。どちらも3-1でアヤックス勝利でしたが、両方の試合でヴィレムが先制し、安心しては見られなかったと記憶しています。

FCトゥウェンテ/ヘルトヤン・フェルベーク
今シーズン途中に就任して間もないですが、フェルベークもAZ時代にやっていた4-3-3を5-3-2へと変えています。アヤックスはリーグとカップ戦でトゥウェンテと対戦していますが、リーグでは3-3、カップ戦では1-1の末PKで敗れるなど、今シーズントゥウェンテに対しては完全にやられています。

ヘラクレス/ヨン・ステヘマン
親善試合では5-3-2を試し、ドイツ2部上位のホルシュタイン・キールに2-3で勝利するなど良い試合を演じたそうです。ただ、現在はドゥアルテが怪我している関係でこの新システムのエールディビジでのお披露目はおあずけ状態とのこと。アヤックスとの対戦でも4-3-3としていました(3-1でアヤックス勝利)。

AZアルクマール/ファン・デン・ブロム
アヤックスとの対戦では4-2-3-1を採用。1-2でアヤックスが勝利しましたがハイレベルな内容に苦しめられました。

フィテッセ/ヘンク・フレーザー
アヤックスとの対戦では4-3-3でしたが(ホームのアレナで1-2の敗戦)、フレーザー監督も相手に応じて5-3-2などを採用しているようです。

この他にも、2016-17シーズンNECのヒバラ監督も面白い存在でしたね。降格圏に沈み解任されてしまいましたが、継続して、若しくは他クラブで見てみたかった監督です。


■アヤックスにもあった少しばかりの変化
これらの流れとは多少異なるかもしれませんが、アヤックスも必ずしも従来の4-3-3一辺倒だった訳ではなく、カイザー監督はフレンキー・デヨングをCBの位置に配置するなど、興味深い変化をつけていました。あくまで4-3-3の派生形というレベルの変化なのかもしれませんが、PSVとのトッパーでは攻撃時に中盤に入ったり時には最前線に飛び出すなど縦横無尽なフレンキーの活躍があり完勝。この試合はカイザー監督のベストマッチではないでしょうか。
フレンキーが不調に陥った場合に機能するのかという問題もありました(実際、フレンキーが途中交代したKNVBベーカーのトゥウェンテ戦ではファンデベークが同じ役割をこなすことはできなかった)が、もう少し見てみたかっただけに、この形が完成を迎える前に監督交代となったことについては少し残念な思いも残ります。


オランダにおける4-3-3の伝統。その本丸とも言えるアヤックスに起こるであろう大きな変化―。もちろんテンハフがアヤックスでも成功し、34回目のリーグ優勝を勝ち取れるのかどうかが最も気になるところなのですが、その手法についても非常に興味をそそられます。さらに、今後のアヤックスやオランダ全体の潮流、育成の方針を含めた視点でも、無い戦術眼を駆使して追いかけていきたい。そう思わせるような大きな転機となる監督交代ではないかと思います。

最後に追記してシュルーダーの就任決定後のコメントより。ナーゲルスマンとテンハフの類似点に触れつつ次のように語っています。
「どちらの監督も複数のシステムでプレーできることを目指している。それは私の哲学でもある。選手たちはより柔軟にならなければいけない。アヤックスにおいては我々のドイツでの経験を共有し、そこから皆が向上できることを望んでいる。」
今回の監督交代が素晴らしい結果となることを期待しつつ、今後アヤックスに起こる変化を見守っていきたいと思います。


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# by ajacied | 2017-12-28 21:43 | Eredivisie

16/17シーズン総括~欧州地図に刻んだ❌❌❌~   

2017年 06月 16日

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エールディビジではフェイエノールトに終始首位をキープされ、最後までプレッシャーを与え続けるも2位。KNVBベーカーは早期敗退。欧州のCLプレーオフではロシアでの悪夢の夜を経験して舞台はELへ。ELでは決勝まで進むもマンチェスターユナイテッドに完全に良さを消されてなにもできずに準優勝。フランク・デブールの長期政権からペーター・ボスに替えて挑んだ16/17シーズンのアヤックスは結局3年連続の無冠という残念な結果で終了しました。
しかし本当に残念なシーズンだったのかというと、おそらく答えはNee。個人的にも、それなりに長い期間アヤックスを追いかけていますが、今シーズンは妙な満足感があります。

EL決勝進出が決まったときだったか、決勝で敗れたときだったか忘れましたが、キャプテンのクラーセンや他数名のコメントで「欧州のフットボール地図にアヤックスが戻ってきた」といった趣旨の発言があったと記憶しています。多くのアヤックスファンも「我々は戻ってきた」と声高に叫びました。無冠に終わったシーズンにありながらここ十数年なかった満足感の理由はまさにこれらの言葉に尽きるのではないか。そんなふうに感じています。

そんな充実したシーズンにありながら、ボス監督はわずか1年でアムステルダムを去ることになりました。賛否あるようですがアヤックスに適任と思われる監督との離別は率直に言って残念です。
後任監督によってどう変化していくのかは気がかりではありますが(ヨング・アヤックス監督だったマルセル・カイザーのトップ監昇格が決定的な模様)、ボス監督が何をもたらしたのかを一度整理してみたいと思います。

■苦渋を味わった過去
1年を振り返る前に、ここで一旦歴史を振り返ってアヤックス周辺を取り巻いていた雰囲気を確認したいと思います。読み飛ばしても問題ありません。
アヤックスが欧州の舞台で脚光を浴びたのは、まずは1970年代のミケルス監督とヨハンクライフ中心のトータルフットボールによるCL3連覇。そして1995年のCL優勝、2002年のヤングアヤックス躍進(CLベスト8)が挙げられるかと思います。しかしその後はボスマン判決や資金格差拡大の影響もあって、満足な結果を得ることなく大会を去る年が続きました。UEFA CupがEuropa Leagueに変わって以来7年間毎年出場しているのがアヤックスのみでありながらベスト8にすら到達できていなかったという残念な状況だったのです。
「アヤックスは今や欧州フットボールの超強豪ではない。アヤックスはもはやアヤックスですらない。」2010年にはクライフにそんな手厳しいコメントも浴びせられてしまいました。
さらに、欧州から取り残されたのは成績だけではありません。トータルフットボールでオランダやアヤックスが世界を席巻した1970年代は戦術的にも最先端を行っていましたが、現在は取り残されてしまったように思えます。
世界的な潮流としては戦術に関しては近年特に発展目覚ましく、グアルディオラ、ビエルサ、ラングニック、さらにはそこから派生した若手監督が多く台頭し、興味深いフットボールを展開しています。
自分はアヤックスばかり見ていたため、これら戦術のトレンドには疎かったのですが、ELでアヤックスがロジャー・シュミットのザルツブルクに完膚なきまでにやられたのを見て「なんなんだこれは……」と衝撃を受けたのを未だに思い出します。この間知ったことですが、あのゲーゲンプレッシングのコンセプトを例えると『猟犬でウサギを仕留める狩り』。あぁ、あのときアヤックスは狩られたのか…。
個人的な感想にはなりますが、そういったトレンドから取り残されている疎外感があり、特にクライフの系譜を継いだグアルディオラが注目を集めているのに本家のアヤックスは…という憤りは少なからず潜在的にありました(ここ1,2年でそのあたり多少動きはあるようですが)。前監督のフランク・デブールが良くなかったというわけでもないのですが、ボールを保持しようというそのスタイルは安定している反面、突破口が見えず停滞感があったことは否めないと思います。

■監督交代の劇薬
そんな中アヤックスの監督に就任したのがペーター・ボス。アペルドールン出身のこの監督はキャリア的にはフェイエノールトにも縁があるからか、一部就任に懐疑的な見方もあったと聞きます。しかし、現役時代のプレースタイルとは異なり、攻撃的なスタイルを標榜する"最後の理想主義者"とも言われたこの指揮官は、アヤックスにEL決勝進出という結果だけでなく、戦術的にも以前とは異なるものをもたらしました。外様監督を据えたこのやり方はアヤックスにとっては薬にも毒にもなり得る改革だったわけですが…。
その中身を自分なりに少しずつ掘り下げてみます。

■スタメン
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16/17のアヤックス。基本フォーメーションは4-3-3です。
攻撃時に特徴的なのは左からの崩し。WGのユネスはボールを持ってからドリブルで仕掛けるのが得意なためワイドに開くことが多く、その間のハーフスペースにLSB(シンクフラーフェンまたはフィールヘフェル)が侵入する形が効果的でした。
リトリートしてからの守備は4-4-2。CFのドルベリとLWGのユネス(またはクラーセン?)がファーストDFに。ユネスが空いた位置には中盤がスライドして埋めるか、またはSBが埋めてCBとアンカーがスライドすることで対処していたと思います。
攻→守のトランジションは5秒ルールでのハイプレス。VIでわかりやすいものがあったので借用。相手ボールになった瞬間、ボールに近い4人がボールホルダーを囲い、その間に他の選手がフィールドを縮めるところです(この間、わずか3秒)。
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■選手のコンバート
「ポジションチェンジが今後のトレンドになるだろう。」
現在最も注目されている監督の一人であるホッフェンハイムのナーゲルスマン監督は以前あるインタビューでそう語っていました。ポジションチェンジとコンバートを同列に考えて良いのかはわかりませんが、ボス監督は選手のコンバートを多用し、フレキシブルにチームを構築しました。

・シェーネ
昨シーズンとの最も大きな違いのひとつがシェーネのポジション。アヤックスの若い選手に囲まれひときわ渋みが際立つこのイケメンデンマーク人はこれまでもウィングやインサイドハーフを主戦上に活躍しており、困ったときはシェーネが決めてくれると思えるほど以前から頼りになる存在でした。しかしWGとIHどちらが適正かは曖昧であり、若手の成長も重要なアヤックスにおいては控えに回されることも少なくありませんでした。
そんな中はまったのがアンカーへのコンバート。ポジションがひとつ下がったのでさすがにゴールやアシストは減りましたが、ここぞというときに頼りになるのは変わらぬまま(28節フェイエノールト戦試合開始直後にFKを直接叩き込んだのは圧巻!)、ビルドアップ面で輝きを発揮しました。開いた2CBの間にシェーネが割って入りGKのオナナからパスを受けそこからアヤックスの攻撃が展開される。シーズンで何度もみた光景です。
世界はシェーネを中心に廻っていたと言っても過言ではないのです。
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・シンクフラーフェン
シンクフラーフェンもシェーネと似ていて、本来はIHなのかもしれませんが昨シーズンはクラーセンとバズールがいたためWGでのプレー機会が多かった選手。ただテクニックはあるものの相手を圧倒するようなプレースタイルではないため目立った活躍ができず、移籍金の割には…と思ってしまったのはここだけの話。
そんなシンクフラーフェンに対してボス監督が考えたのがLSBへのコンバート。インサイドMFのSB起用というやつです。元々IHのシンクフラーフェンが攻撃時にはIH化。使い道が難しかった彼を活かす道を見事に見つけたな、と唸るしかない起用法です。
しかしそれも良いことばかりではなく、守備面には脆弱性を抱えます。シーズン当初はアヤックスの左サイドにできた広大なスペースを相手に突かれ、何度となくピンチに陥りました。ただそれも一時のこと。いつからかその脆弱性は気にならなくなったのですが、それはなぜか。タックル成功率を取り上げてシンクフラーフェンの守備は言うほど悪くない、そんな記事をシーズン中に読んだこともありました(シーズン終了時の記録はタックル数58、勝率86%と数値的には良い部類です)。守備への慣れ。それもあるかもしれませんが、単純に回りのカバーもうまくなったのではないかと思ってます。シェーネが左サイドをカバー、もしくはフィールヘフェルがカバーしてシェーネがCBにスライド、などといった形で。

・フェルトマン
フェルトマンについてはCBがRSBへということでそれほど大きな変化ではないかもしれません。とはいえ、昨シーズンまでCBのポジションを確立していたフェルトマンではなく、新加入のサンチェスと絶対的ではなかったフィールヘフェル(あるいは17歳のデリフト)をコンビにするなど、なかなかできることではないです。ましてRSBが本職でオランダ代表でもあるテテが控えている状態で。狂気の沙汰かと言いたくなるところですが、少し考えると右は守備を重視して安定を図ったのかな、ということで納得の一手。


■若きタレントの躍進
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今シーズンのアヤックスはスターティングⅪの平均年齢が異常に低く、EL決勝では22歳282日と歴史的にも最も若いということで話題にもなりました。
若いだけでなくそのそれぞれのプレーも印象的。17歳にしてトップレベルでも十分やれることを示したCBのデリフト、父親が有名というだけでなく個人として存在感を見せたクライファート、ビーストとも呼ばれる屈強さとパスセンスを併せ持つサンチェス、細かいタッチで相手を翻弄するドリブラーのユネス、そして冷静沈着にボールをゴールに叩き込みそれを当然というように笑顔すら見せないアイスマンのドルベリ。
ほかにもオナナやトラオレなどまさにヤングタレントの見本市。注目選手を一人挙げろと言われても答えられないほどなのですが、そんな中にあって27歳と今のアヤックスではベテランに分類されるフィールヘフェルが個人的には印象に残りました。チーム状況に応じてCBだけでなくLSBもこなし、編成的に手薄なポジションを埋める役割を引き受けたというだけでなく、LSB時にはシンクフラーフェンと同様攻撃的にもいける意外性、そして大事な場面でゴールを決めてチームを助けてくれた点が印象深いです。特にシャルケとの2ndレグが凄まじく、120分にわたる死闘において、絶望的な状況をひっくり返すゴールをあげただけでなく、ピッチのどこにでも出没していました。
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■改革の弊害
ボス監督は前述の通り選手のコンバートを非常にうまく使い、既存選手を活用した一方で活用できず仲違いした選手も多数。グデリ、バズール、エルガジ、ダイクスは移籍をし、テテとリーデヴァルトはベンチで多くの時間を費やしました。全てデブール監督下の昨シーズンまでは主力だったメンバーです。
どういったところで食い違いがあったのか正確には把握はしていませんが、少なくともダイクスは戦術面で適応しようと頑張っていたものの適応できず、という流れだったかと。急激に変化しすぎたことによる弊害はあったように思われます。
最終的にはスタッフ陣との衝突があったともまことしやか噂されていましたが、それはボス監督だけでなくアヤックス側にも問題はあるような気も。確かなことはわからないのでなんとも言えませんが。

■それぞれの道へ
ボス監督はアヤックス就任前、フィテッセを離れてから半年間マッカビ・テルアビブの監督を務めていました。クライフの息子ジョルディ・クライフがTDをしていたクラブですが、不可解な移籍と思っていたところ僅か半年でアヤックス監督に就任。やはり特別なオプション付きの契約だったようですが、イスラエル滞在時に1週間ほど生前のクライフと深い話をする機会があったそうです。そこでどんな話をしたのか多くは語られていませんが、「1週間で10年分の学びがあった」とのこと。全てはボス監督の胸の内ですが、クライフの系譜を受け継ぐ者としてはこれ以上ないエピソードではないでしょうか(ロマンチシズムに過ぎますかね)。
原理主義的な物言いをすれば、ボス監督により縦への意識が強くなった。よりクライフの考えに近いフットボールになった。アヤックスにはこのまま突き進んでいって欲しかった思いもありますが、どうやら内部はそういう考えばかりでもなかったようです。

現段階では既に複数の選手に移籍の話があり、アヤックスにはいつもの光景ではあるものの気分の沈む嫌な時期です。しかしこの1年カイザーが面倒を見たヨング・アヤックスにもまだまだ有望なタレントが控えていますので、今後どんな発展を見せてくれるか、期待したいと思います。
そしてボス監督にはドルトムントでも相変わらずのアトラクティブなフットボールを、相変わらずの微妙なユーモアを、引き続き期待してます。
Bedankt Peter!


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# by ajacied | 2017-06-16 19:04 | Eredivisie

2016-17前半戦をデータで振り返り(太田宏介)   

2016年 12月 18日

太田宏介は昨シーズンの冬フィテッセに途中加入して、エールディビジは2年目。17節終了でシーズン折り返しの節目における個人データのまとめです。1人分の個人データ並べただけですが話のネタにでもなれば。
データはOptaベースのものを各所から拾ってきたものでエールディビジの試合のみが対象です。
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■太田宏介 2016-17シーズンエールディビジ1~17節
[General/Attack/Defense/Passing] データを4項目に大別しました
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昨シーズンは加入後ほぼ全試合出場でしたが、監督が変わった今シーズンは1節に途中交代となって以降12節までで183分しか出場時間がなく、序盤は苦しいシーズンとなりました。しかし13節以降は全てフル出場と、ほぼ定位置を確保した感があります。前半戦で太田の代わりに左SBを務めていたのは主にクライスヴァイクだったかと思います。
No.4の勝点平均は途中出場で数分出場した試合も含むため参考になるかは微妙なところですが、太田途中出場の試合は勝ち試合がないので、出場してるときの方がチームとして勝点を得られていると言えるかもしれません。


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アシストは1節のヴィレムⅡ戦(1-4で勝利)と16節のスパルタ戦(0-1で勝利)。1つはボールを預けたカザイシュビリ(現レギア・ワルシャワ)が決めてくれた形ですが、もうひとつはCKからリッキー・ファン・ヴォルフスヴィンケルに合わせたもので0-1勝利に貢献してます。


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チーム全体では90分あたりのパスは平均447.0回。太田はそのうち9.1%を担っている計算になります。



最後にパスマップ。@11tegen11 氏が作成しているものを借用。サンプルは入手できたものから適当にピックアップしたものです。
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1節  ヴィレムⅡ戦 (アウェイで1-4の勝利)
13節 ヘーレンフェーン戦 (アウェイで1-1の引分け)
17節 フェイエノールト戦 (アウェイで3-1の敗戦)


(参考)クライスヴァイクが左SBで出場した試合のパスマップ
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2節  ADOデンハーグ戦 (ホームで1-2の敗戦)
8節 フローニンゲン戦 (ホームで2-1の勝利)


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# by ajacied | 2016-12-18 10:29 | Analytics

2016-17前半戦をデータで振り返り(小林祐希)   

2016年 12月 18日

小林祐希がヘーレンフェーンに加入した今シーズンのエールディビジ。17節が終了してシーズン折り返しの節目ということでざっと個人データをまとめてみます。1人分の個人データだけ眺めてもわかることは少ないかと思いますが、話のネタにでもなれば。タイトルは振り返りとしたもののあまり振り返りません。データ並べるだけで。
データはOptaベースのものを各所から拾ってきたものでエールディビジの試合のみが対象です。
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■小林祐希 2016-17シーズンエールディビジ1~17節
[General/Attack/Defense/Passing] データを4項目に大別しました
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シーズン途中に加入した後は13試合全て出場と完全に主力として活躍。ヘーレンフェーンはほぼメンバー固定でシーズンを戦っており、出場時間1141分もメンバー中11位。出場率が75%なのは加入前も含まれている為で、出場可能試合においてはほぼフル出場です。
イエローカードはデビューした5節トゥウェンテ戦でした。カウンター阻止のものだったと記憶してます。


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初ゴールは15節のゴーアヘッドイーグル戦。味方シュートがポストに当たった跳ね返りを左足で流し込んだ形でした。


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小林未出場試合では1試合あたりの失点数が1.75に対し、小林出場試合では1.00。単純には語れないものの、小林が入り中盤でバランスをとるようになったことが数字として出たと言えるかもしれません。


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チーム全体では90分あたりのパスは平均478.9回。小林はそのうち10.5%を担っている計算になります。


最後にパスマップ。@11tegen11 氏が作成しているものを借用。サンプルは入手できたものから適当にピックアップしたものです。
基本的に中盤はオランダ代表にも返り咲いたスハールスが中心。右のファン・アメルスフォールトが前に行くからか全体的にチームが攻撃好きだからか、小林はバランスとり。パスの受け渡しにもかなり絡んでいるように思います。スハールス不在試合もピックアップできたら良かったかも。
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5節 トゥウェンテ戦 (ホームで3-1の勝利)
11節 フェイエノールト戦 (アウェイで2-2の引分け)
17節 ヴィレムII戦 (アウェイで2-1の敗戦)


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# by ajacied | 2016-12-18 10:00 | Analytics